写真提供:折形デザイン研究所

スペシャルコラム

客員研究員<br>下中 菜穂

客員研究員
下中 菜穂

「知る、やってみる、問いは続く。」 旧暦、行事、そして正月のこと

こんにちは。下中菜穂と申します。
江戸時代に始まった「もんきり」という切り紙を通して、暮らしの中で生きてきた日本の「かたち」の文化、そこから見える暮らしや自然観などを研究しています。展示やワークショップ、伝統的な「切り紙」のフィールドワークなどを続けてきました。

「旧暦カフェ」という小さな行事の研究会も主宰しています。
「旧暦カフェ」では、折々の行事について調べたことを、旧暦の日取りに(ほぼ)合わせて「やって」みます。そこから自分たちの実感や記憶を引き出しながら、何がその行事の本質なのかを考えていくこと、それが実に面白い。
ラスコーの洞窟画を研究するために、実際に描いてみて考える学問を「実験考古学」と呼ぶそうですが、いわば「実験民俗学」の試みとでもいいましょうか。といっても、私を含め参加者は学者というわけではなく、一生活者あるいはそれぞれの職業者としての知見を持ち寄って試行錯誤してみています。

さて、師走は坂を転がるように過ぎていきます。このまま慌ただしく年末を過ごし、時間切れのように正月を迎えてしまいそう。
それでも、「あけましておめでとう」というひと言で、真っ白な新しい年が始まる……この「更新する」感覚が今なお私たちの中に根強くあり続けているという事実。これは本当に驚くべきことだなあと思うのです。

もし、このような「区切り」がなかったら……と想像してみます。
私達は、たちまち延々と無限に続く「時の大河」の奔流に押し流されてしまうのかも。
四季の自然、月や太陽の運行に息を合わせるように、暮らしのリズムを作ってきたご先祖様達が、新年を「生まれ変わり」の季節として繰り返してきたたこと、その叡智はつくづく深い!


※写真は、静岡県伊東の海岸で見つけた「とんど」

かつては、12月8日の「事始め」から2月8日の「事納め」までの長い期間、さまざまな(正月の)段取りを重ねるものでした。
試しに列記してみると、「松迎え」「煤払い」「大祓」「大正月」「若水汲み」「六日年」「七草」「カニの年取り」「牛正月」「小正月」「ネズミの年取り」「道具の年取り」「庭田植」「とんど」「鳥追い」「ホトホト」「成木(なりき)責め」「二十日正月」「骨正月」「送り正月」……まだまだあります。
その上、節分(と立春)も、旧暦ならば正月の前後にやってきます。手元にある年中行事の本も、なんと半分ぐらいのページを正月の前後に割いています。
このように厳重に行事が繰り返された理由はなんなのでしょう?

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折形デザイン研究所

折形デザイン研究所

山口さんに学ぶお正月飾り教室レポート

12月14日に開催いたしました、折形デザイン研究所での行事をたのしむ「お正月」関連イベント「山口さんに学ぶ正月飾り」。

前段として田中宏和による「京都正月小噺」が披露されました。

続いて「本編」。
友の会客員研究員・山口信博さんによるお正月と注連縄についてのお話、同じく山口美登利さんによるお正月飾り折形教室の様子を、ご報告させていただきます。


事務局サトエミによるグラフィックレコーディング議事録メインのレポートです。これは、議事録のほんの一部。

今回教えていただいた折形は、「木の花包み」をアレンジした松飾りの包み、祝箸のための箸袋、ポチ袋のように使える「年玉包み」。


皆さん、丁寧に丁寧に。


5本揃えながら結ぶ水引きに、参加者の皆さんは悪戦苦闘!
「何度やっても難しい」と、笑いがこぼれる、にぎやかなワークショップになりました。

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田中 宏和

田中 宏和

京都の正月小噺

2019年12月14日14日に、折形デザイン研究所さんにて、行事をたのしむ「お正月」関連イベント「山口さんに学ぶ正月飾り」を開催しました!

当日は、イベント前段として田中宏和による「京都正月小噺」が発表されました。
田中の故郷・京都で受け継がれてきた正月準備、大晦日、元旦のしきたり、ならわしを、81歳になる母に取材した内容も織り交ぜ、110枚のスライドを使ってご紹介したものです。

正月準備のたいへんさについては、母にひとことで言わせれば、「やりだしたら、きりないわ。」

京都では、「事始め」と呼ばれる12月13日から新年を迎える支度が始まります。
この日、寺社では一年の穢れを拭き清める「煤払い」が行われますが、我が家では、家長が伏見稲荷の神具店で神棚の神具(京都風には「神さん用品」)を新しいものに買い改めます。
そして正月に欠かせない「お鏡さん(鏡餅)」の注文は、むかし馴染みの創業明治8年の餅店に。お鏡さんの飾り方、「根引の雄松・雌松」を使う門松、江戸時代に流行した大道芸「ちょろけんさん」を象った注連縄……。とにかくいろいろな決まり事があります。

そして、京都人の伝統的お買い物エリア「寺町通」「錦市場」をめぐる買い出しに。お年玉のポチ袋は鳩居堂、お正月の間使い続ける「祝箸」は市原平兵衛商店、買う店だってお決まりの老舗です。あちらこちらと歩きまわって疲れたら、冬の京都の風物詩「蒸し寿司」をいただいて小腹を満たし、我が家の定番おやつである、かすてら饅頭「ロンドン焼」、林萬昌堂の「甘栗」、ぎぼしの「吹よせ」を買い求め、帰りにイノダコーヒの甘いコーヒーを一服……。

いよいよ大晦日ともなれば、お燈明や新年の煮炊きに使う火をいただく「をけら参り」に、祇園は八坂神社に向かいます。
明けて元旦は、「福沸かし」と呼ばれる大福茶、白味噌・頭芋・丸餅の雑煮、3日間は食べずに「にらむ」ためのお頭つきの「にらみ鯛」で迎えます。

「丸いものにこだわ」るとか「元旦には刃物を使わな」いとか……。
とにかく、「きりのない」京都のお正月は、「縁起もの」と「験担ぎ」にあふれるのでした。

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行事をたのしむ「お正月」にご協力くださった研究員のみなさん(順不同、敬称略)

(客員研究員&編集)
下中菜穂、折形デザイン研究所、木下着物研究所、吉岡更紗、神谷真生、田中宏和

(研究員)
奈美、こがっぱ、奥次郎、山﨑修、茶と料理 しをり、大関、みうきい、三澤純子、美穂、れいこ、Yukiko、まゆこ、まつなみ、モカの寝床、さくらちゃん、あき、えも
ミミ、凛、おごもん

ご協力ありがとうございました!

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