第五十一候 蟋蟀在戸

蟋蟀在戸 きりぎりす とに あり

蟋蟀とありますが、この候に登場するのは「ギーッチョン」と鳴くキリギリスではなく、夏から初冬によく見られるツヅレサセコオロギだと思われます。秋も深まった頃、リーリーリーと鈴のような音色を響かせる、あの虫です。昔の人は繕(つくろ)いものをしながら、その音を「肩刺せ、裾刺せ、綴れ刺せ」と聞いたのだとか。秋の夜長、蟋蟀の歌に促されて冬支度を急ぐ情景が思い浮かびます。

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