第四十九候 鴻鴈来
寒露
朝晩の冷え込みがはっきりと感じられるようになります。明け方、草や葉に宿る露に触れて、思いがけない冷たさに驚いたことはありませんか。秋は確実に深まっているのです。
鴻鴈来 こうがん きたる
燕が南へ帰る頃、入れ違いに雁が渡ってきます。遠くシベリア、カムチャツカから海を越えてやってきた雁は日本で越冬し、春の訪れとともに北へ帰っていきます。清少納言が『枕草子』に記したように、隊列を組んだ雁の群れが空高く飛んでいく光景は勇壮であると同時にしみじみとした趣があり、日本人の心を搔きたてます