お飾りとお供えあれこれ

12月8日の「事始め」からお正月が始まっている、というほど、かつて新年を迎える支度には手間と時間がかけられたものだそうです。
現代において、さすがにひと月もの時間をかけた正月準備はそう見られなくなりましたが、やはりお正月だけは日常とは違う、あらたまった気持ちで迎えたいという方が多いようです。それゆえに、門松や松飾り、鏡餅などの飾りを施し、年神様をお迎えしてあらたまの年を祝う意を表す習慣を欠かさない家も多いのではないでしょうか。
くらしのこよみ友の会でも、2019年12月14日に、折形デザイン研究所のご指導による「正月飾り」づくりを学ぶ会を催し、松飾り、お年玉、祝箸、それぞれの包み方を学びました。
研究員のみなさんは、どのように今年のお正月を飾り、楽しまれたのでしょうか? たくさんの投稿をもとに、ダイジェスト版としてご報告いたします。

神へ、新年へ、しめ飾りを。

私は、お正月を迎える藁(わら)細工に、すっかり魅了されております。12月上旬、宮崎県・高千穂を再訪し、天岩戸や天岩戸の里そのものを御神体とされる「天岩戸神社」、記紀神話にて「天孫降臨」の地と伝わる「槵觸(くしふる)神社」へ参拝し、高千穂のしめなわも確認して参りました。
そして、熊本の師走の風物詩、「工藝きくち」主催の「正月飾り 各地の注連縄を集めて」展へ、実家のしめ飾りを購入しに出向きました。しめ飾りは結界のほかにも「雲、雨、雷」をあらわすと言われ、とりわけ前垂れ系は自然界パワーを感じ、気に入りました。

みうきい

生まれてはじめて綯った!

注連縄作りのワークショップがあったので参加して、生まれてはじめて自分で綯って来ました。「しめ縄づくりプロジェクト」(一般社団法人国際教養振興協会主催)のスタッフが岐阜の東白川村に移住してまで、田植えから自作、しかも、しめ縄用に手刈りし、そのままでは固いため適度に湿らせた状態の稲を用意していただきました。
試行錯誤しながらの自画自賛な完成形!!
+紙垂(しで)+松(依り代)+南天(難を転じる)+うらじろ(清廉潔白)+扇(百均)。
夏の旧暦カフェ(大祓)の時におしえてもらったしでの作り方がお役立ち。その時も、紙垂は雷を表しているとか教えてもらったっけ。

こがっぱ

ザ・京都の「ちょろけんさん」飾り

研究員の山崎修さんの投稿で「日本各地のしめ飾り展」なるものが「べにや民藝店」で開催されており、なんとお店が青山からご近所の駒場に移転していたことに二重の驚きを受け、徒歩10分ほどのお店に行ってきました。見つけました。先日の「行事を楽しむ」イベントの前座「京のお正月小話」でご紹介した例の「ちょろ」。店主と「これ、懐かしいんです」と談笑して買い求めました。

田中宏和

日本海をまたいで――新潟のお飾り2種

全く自慢することではないのですが、わたしはこう見えて片付けられない系の人です。そんなわたしでも一夜飾りは避けたいと一念発起し、玄関をきれいに掃除してしめ飾りを掛けるまで頑張りました!これはいつも生協で購入しているもの。新潟県のJAささかみの組合員さんの手作りです。新潟県産の稲藁という謳い文句に惹かれ毎年購入してます。
佐渡のお正月は未体験ですが、以前祖父から届いた藁細工。佐渡のしきたりとかではなく、島内の農家の方が作っているもので、おめでたいからと送ってくれたものです。

自作2年めのしめ縄

しめ縄は、通っているしつらい教室で自作したもの。自作を始めて二年目で藁の扱いに少し慣れてきました。

木下着物研究所

宮城伝統の繭玉飾り

私は宮城県登米市の実家でお正月の準備中です。今日はみずのきに、餅(マユダマ)と飾り(オフクベ)で正月飾りを作りました。

美穂

家族みんなの手作り飾り

南房総のしめ縄作りのワークショップに、ダーリンが参加してきました。彼にとっては、初めての縄縫い。地元の農家のお爺たちが教えてくれました。お爺のお得意が米俵だと言うので、それも教わって、こんなしめ飾りができました!
息子の手作りのお飾りです。息子は福島のコットンプロジェクトに参加して、1年かけて校庭で綿を育てておりました。できた綿を撚って糸にして、それを使って作品作りした土台です。お正月飾りをさしてみました。

三澤純子

2パターンで飾れるすぐれもの

近所のフラワー店が店舗2階でひっそりワークショップを開催している事を偶然知り、『お正月飾り』の回に参加してきました。2パターンで飾れるそうなので、早速飾りました。花置きにもなるそうです。

Yukiko

吉祥づくしで新年の室礼を

年末から新しい年にかけて希望と感謝の気持ちを持って、お正月準備や室礼を通してお祝い(予祝)やお祈りをしています。床の間はほぼ毎年同じ飾りつけをしています。
今年は年末に「日陰の葛」をいただいたので寿老人図と合わせてみました。

山﨑

神棚に魔除けの鍾馗様

年末に、閉店した店の片づけを頼まれてそこに埋もれてあった凧をいただいたんです。これは年代物です。まぁ、薬局のお土産用なんできゃしゃですよね、右下に商品名が印刷してありますよ。
こちらでは、「タコ」でなくて「イカ」と言います。「三条イカ合戦」もあります。大きな六角イカを使いますが、近郷の中之島も六角です。ですが、隣の白根は四角の大凧なんですねぇ。近くでも違うんです。その白根は「新潟市しろね大凧と歴史の館」なんてのがあるくらいなんです。おっと「見附市大凧伝承館」もありました。
爺さん作の神棚の隣には、家に置くなら魔除けの鐘馗様がいいよと店の人に言われて買ったものがかけてあります。もう十五年くらい前になりますかね。

奥次郎

さすがお正月。しめ縄を中心とした「藁細工」に注目が集まりました。稲作文化と切っても切れない関係の「縄」「わら細工」そして「しめ縄」。研究の道はまだまだ深く、遠くまで続きそうですね。
また、手作りの飾りづくりや土地伝統の正月飾り、意匠をこらした床飾り、懐かしい玩具など、お正月らしい華やかな報告から、さまざまなかたちに込められた寿ぎの気持ちが溢れました。
来年もさらにたくさんの事例報告が集まることと、いまから次のお正月が待ち遠しくなります。

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