健やかな暮らしを祈り、住まいを飾る

古の人は、健康な暮らしへの祈りを込めて、端午の節句に、薬効・芳香の強いショウブやヨモギを家々の軒端に下げ、薬草・香草・香料を錦の袋に詰め美しく飾った「薬玉(くすだま)」を室内に吊るしたそうです。今も、ショウブをお風呂に入れて「菖蒲湯」を楽しむ方は多いのではないでしょうか。
時を経て武家社会になると、端午の節供には子どもたち、とくに男の子の健やかな成長を祈るという意味も加わりました。それにちなんで飾られる鎧兜や鯉のぼりは、今も子どもの日の象徴として身近なものとなっていますし、5、6月に美しい花を咲かせるハナショウブ(先のショウブとは別種の植物)は、「勝負」に名が通じるからでしょうか、男の子の節供としての端午に合わせて、よく飾られているようです。
さて会員の皆さんの端午の節供はいかがでしょうか。

端午の薬玉

昨年の重陽の節句で、茱萸袋を作成しましたが、端午の節句には、薬玉に掛け替えなきゃ!ということでこの度薬玉を作成いたしました。
今回は江戸時代の後桃園天皇皇女、欣子内親王の薬玉をお手本にしています。有職造花は、「枯れる」ことを縁起が悪いと嫌って造花に想いを託します。本当は絹糸に和紙で裏張りして、コテで形作る……それはそれは繊細な工芸品ですが、現代の造花を大胆に(笑)流用して手軽にインテリアに取り入れてみました。造花には牡丹と楓を取り入れるのがポピュラーだったようです。
薬玉は、糸を長く垂らすところから「長命縷」(ちょうめいる)ともいいます。長い糸にも長生きの祈りが込められていたのですね。考えてみれば、魂を結び留めているのも「玉の緒」というのでした。

かずさ

掛香を薬玉へ

毎年5月になると部屋にかけてある香の袋を薬玉へ掛け替えます。
薬玉といっても薬草などが入ったものではなく、中身は香が入った袋ですが、香の袋にも漢方のように乾かした植物の粉だのなんだの入っているので、まったく薬ではないわけでもないのかもしれません。良い香りで病気を払いたい、という昔の人の気持ちを考えると、少しは同じような気持ちかもしれないと思います。
袋には予めブレンドされた香を入れることのほうが多いのですが、たまにがんばって、香木を扱っているお店で買った、白檀、樟脳、栂、丁字、山奈、大茴香、甘松、藿香、桂皮の粉をブレンドすることもあります。

あきらこ

@端午の節句

軒菖蒲は5月4日の夕方飾って、5月5日の朝には取り払います。
コロナウイルスが早く治まるよう、鈴木万年さんの鍾馗さんを飾りました。4日に菖蒲はまだ咲いていませんが5日の朝にはきれいに花を咲かせてくれました。

山﨑修

おりあみで兜

毎年、おりがみで兜を折りますが、今年は「おりあみ」(金網でできたおりがみ)で作ってみました。
網の強さと、透けた繊細な質感で、立派な兜になりました。
例年は親族集まって大皿料理でお祝いですが、今年は家族で静かにお弁当仕立てでお祝いしました。たけのこご飯、さわらの西京幽庵焼き、アスパラガスの牛肉巻き、卵焼き、たけのこの煮物、花麩と胡麻麩の煮物、柏餅。
邪気を払い、みんな幸せになりますように…。

りえさん

金太郎のお人形で節供をお祝い

折角のお節句ですからせめて金太郎さんでもと取り出してみました。

ミミ

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